働きながら米国のコンピュータサイエンスの学士号を取得する、UoPeopleという選択肢
2019年もついに終わりを迎え、2020年になろうとしている。
6月末に転職してから半年が経った。 SESから自社開発になり、自分の動き方・考え方も少しずつ変化したように感じられる。 技術的な部分だけではない、前職とはまた違った観点でエンジニアリングそのものの難しさを実感している。
しかし、自社開発ならではのサービスとチームの距離の近さは素晴らしく、一つ一つサービスを良くしている実感を得られるのはやはり楽しい。 同僚も優秀な方ばかりで、転職して良かったと心から思う。
一方で、この半年で心の奥底からふつふつと湧いてきたものもあった。
コンピュータサイエンスへの興味だ。
コンピュータサイエンスへの憧れ
僕は工業高校を卒業してからすぐ、石油天然ガスのプラントに就職。 その後、1年半でベンチャー企業(SES)に転職。 そして再び1年半後、現職(Webサービス開発)に転職、という経歴を持っている、22歳のWebエンジニアだ。
つまりエンジニアとしては最近3年目を迎えたことになるが、2年目を迎えた頃と今では、意外にも根本的な技術的理解はほとんど同じように感じる。
これはつまり、業務に必要になった技術をキャッチアップするだけでは、既に技術面の成長曲線の伸びが鈍化し始めているように感じている。
もちろん、エンジニアに求められる本質的な要素は、課題を技術力でどう解決するか、という How の部分だと思う。今のまま流行りのフレームワークやコンテナ技術、IaaSをキャッチアップしていけば、幅広い武器を持っている価値の高いエンジニアになることができると思う。
その方面で勝負するために、今までは必要に駆られつつ、スポンジのように様々なことを吸収してきた
しかし、色々キャッチアップしていくうちに、よりコンピュータサイエンスチックなことをやってるエンジニアへの憧れ・尊敬の意が強くなってきた。何より、僕が少し勉強しただけでは理解できない熟成された知識が、単純にかっこいいように見えた。
そして、エンジニアとして同じ土俵に上がりたいと思った。
まぁ正直な所、彼らが単に超絶優秀なだけで自分が多少かじったところで太刀打ちできないという可能性が大いにあるが、人間、自分の可能性を諦めたくないものだ。
コンピュータサイエンスをどのように学ぶか
こうして、コンピュータサイエンスを学び多少なりとも低レイヤーを理解したいという欲望が生まれた。
さて、どうやって勉強しよう。アルゴリズムを勉強する?コンパイラを作ってみる?OS自作入門の本とか買ってみる?
正直なところ、どれもピンとこない。これらを勉強することで僕の曖昧な目標に近づくようなイメージがあまり沸かない。何より僕は飽き性だ、過去の傾向からこのような個別的な方法の成功率が低いことは理解していた。
そこで出会ったのが、OSSU (Open Source Society University) というリポジトリだ。
コンピューターサイエンスを基礎から学び直したい人にとって最高のリポジトリを発見した...!!
— toxoxi / plant (@_toxoxi) December 1, 2019
MOOCsなどの様々なオンライン教材の中からコンピューターサイエンスに特化した、"無料"で受講できるコースだけを体系的にまとめてくれている。必要なのはやる気だけ。https://t.co/iDrPBsbPzn
ここではコンピュータサイエンス関連のMOOC(オンラインで受講できる無料の講義)がカリキュラムとして体系的にまとめられていた。2-3年程かかるものの、これをやりぬくことで自分が欲している基礎力を身に付けることができるような気がした。
善は急げ、とにかくCore CSの最初のコースをやってみた。
www.edx.org
やってみた感想としては、若干複雑な気持ちになった。コースの内容自体は素晴らしく非常に勉強になるし、これを2-3年続ければ確かに大きく成長できるとは思うが、数年続けたことを証明するコンピュータサイエンスの学位が欲しいと感じてしまった。
UoPeopleとの出会い
どうしたものかと考えつつ、コンピュータサイエンスの学士号が取得できる通信制大学に目を通すが、校風が古かったりカリキュラムが整備されていなかったり、あまり惹かれる大学は見つからない。
社会人学生の色々なブログを物色していると、唯一惹かれる通信制大学を見つけた。しかも、アメリカの大学。
それがタイトルのUoPeople (University of the People) だ。
www.uopeople.edu
ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープル(University of the People、略称 UoPeople、本部: アメリカ合衆国カリフォルニア州 パサデナ)は、地球上のあらゆる貧困地域、遠隔地域と高等教育機会をつなぎ、高等教育の普及による世界のよりよいコミュニティ生成を目指すことを理念とした、米国の501(c)(3)非営利の高等教育機関である。[2] [3]学長は、ユダヤ系イスラエル人の起業家であるシャイ・レシェフ(Shai Reshef)。アメリカ合衆国教育省(U.S.DoED), 大学単位認定審議会(CHEA), 遠距離教育単位認定委員会(DEAC)及びカリフォルニア私立高等教育局(BPPE)に認定されている。
2009年から運営されている大学で、以下の特徴がある。
- Accredited
- 卒業するとアメリカで正式に認められている学位(学士号・修士号)*1が取得できる。
- コンピュータサイエンス、経営学、健康学などのコースが提供されている。
- Online, Tuition-Free
- 授業が全てオンライン、かつ授業料が無料(試験を受けるためにはお金がかかる)
- missionの一つとして掲げている more affodable を提供するために非営利団体によって運営されている。
- コンピュータサイエンスの学士号を取得するために必要な全費用は、4年間で45万円程 ($4060) と驚くほど安い。
- Partnerships
...完璧だ、完璧すぎる。これこそ自分が求めていた大学だ。
しかし、UoPeopleでCSの学士号を取得するにはいくつかのハードルがある。
- 最低限の英語能力
- UoPeopleは全世界の人のための大学なのでネイティブ並の英語は求められないが、テキスト・課題の提出・コミュニケーションなどは全て英語で行われる。
- 英語がネイティブではない人は、入学するためには下記のどちらかを満たす必要がある。
- English Composition 1 というコースを入学前に受講する。
- TOEFL・IELTS・英検など、認定された試験である程度の実力があることを保証する。
- The Non-Native English Speaker's Easy Guide to Proving English Proficiency | University of the People
- 勉強時間の確保
- UoPeopleは1年間で5学期に分かれていて、1学期に1つか2つのコースを取ることができる。
- 1つのコースは週に15時間ほどの勉強時間を確保する必要があるので、学士号を4年で取得したい場合は2つのコースを取得し週に30時間の勉強時間が必要。
- モチベーションの維持
- 確実にこれが大きな大きな壁となる。
- 働きながら学位を取得するということは今自分が想像しているよりも大変に違いない。
これらのハードルを乗り越えて学士号を取得する過程で、大きな成長を得られるはずだ。
まとめ
思い返すと今まで、長期的な目標を立ててコツコツと達成した成功経験はあまり無い。大学受験もしていないし、強いて言えば資格の勉強くらいだ。目の前の課題をクリアすることで経験値を積み上げていた。
だからこそ長期的な目標を立て、チャレンジしてみたいという気持ちがある。
まずは最低限の英語を身に付けるため、TOEFLを受験しようと勉強を進めている。来年の5月に受ける予定で目標は61点以上だ。
そしてUoPeopleに入学し、2019-2020 TERM5 (来年6月~) に1コース (週15時間) 受講するつもりだ。
同じようにコンピュータサイエンスの学士号を取得したい人は少なからずいると思うので、コメントやらTwitterやらで質問をもらえれば僕が知っている範囲で答えます。一緒に受講できたら最高ですね。
参考としてUoPeopleのTED talkを貼っておく。 www.ted.com
今年読んだ本の中に「そして、ぼくは旅に出た。」という本がある。
その中で出てきた世界的探検家、ウィルスティーガーの言葉が最高にかっこいい。
Put your boots on and start walking! (ブーツを履いて歩き出せ!)
- Will Steger
とにかく歩き出さないと始まらない。
さぁ、5年後の自分がどうなっているか楽しみだ。頑張れ自分。