Velocity

方向を定めて

CADDi で自分の代表作を作る(入社エントリ)

2023年11月に4年半ほど働いた freee を退職した。12月からは CADDi でソフトウェアエンジニアとして働いている。CADDi で働き始めてから約2ヶ月が経過したので、心境を綴ってみる。

freee でやっていたこと

2019年の6月、SES企業でエンジニアとして働き始めてから1年半ほどが経っていた。「自社プロダクトを開発している会社で働いてみたい」という理由で freee に入社した。

最初の2年半は会計士・税理士向けの機能の、残りの2年は個人事業主向けの機能の開発運用を担当していた。

最初はただただタスクをこなすのに必死だったが、入社して半年くらいのタイミングで、メンバーの異動などによって自分が開発のオーナーシップを持たざるを得ない状況になった。そういった経緯もあり、気づけばチームのアウトプットを最大化するために何でもやる人になっていた。スクラムイベントの改善や、ドキュメントの作成、落ちてるボールを拾いまくるなど、そういった感じだ。

自分が思い返す限り、ずっと楽しく仕事をしていた。環境にも恵まれた。マネージャーは常に自分がやりたいことを尊重してくれており、個性を尊重するカルチャーが自分らしく考え・振る舞うことを後押ししてくれていた。

そんなこんなで面白そうなことを手当たり次第やっていると、技術的な関心事に閉じず、次第にプロダクトだったり組織にも関心が広がっていった。中でも特に印象に残っているのが、入社して1年くらいの時に携わった全社MTGの司会業だ。これについては以前 note を書いたこともある。

freeeの全社員が集まるミーティング "WeeklyAekyoHour" のつくりかた|plant

"司会" というタグがついているが、単に司会進行をするだけではない。全社MTGボトムアップで行われているため、コンテンツの枠組みや視聴者 (= 全社員) の体験設計も含め、自分たちで試行錯誤することができる。

「なんか面白そう」という理由で始まった司会業は、結果として、ジュニアエンジニアでありつつも全社観点で物事を考えることができるという貴重な機会になった。それをきっかけに、「職種・ポジションに関係なく、向き合うことさえできれば課題の当事者になることができる」ということを学んだ。これは今の自分の仕事のスタンスに大きな影響を与えている。

他にも、freee で学んだことは数えきれない。

  • プロダクト・組織のスケールにどう立ち向かうか
  • ミッション・ビジョン・カルチャーが持つ力強さ
  • 技術に固執せず、ユーザー価値を追求することの重要性
  • 複雑なドメインを扱うエンジニアリングの奥深さ
  • etc.


後半の2年は、エンジニアリングマネージャーを務めたり、技術で勝負したくなって1メンバーに戻って開発に集中したりしていた。そういった柔軟なキャリアを選べる環境は本当にありがたかった。

転職のきっかけ

freee では充実した日々を送っていた。自分は働きながらコンピューターサイエンスを大学で勉強しているのだが、業務時間もかなり融通を効かせてもらっていたりした。そういったこともあり、あまり転職などは視野に入れていなかった。

しかし、とあるタイミングで改めて中長期のキャリアについて考え直す機会があった。そこで、「全く違う環境で、自分がソフトウェアエンジニアとしてどれくらいのパフォーマンスを出せるのかチャレンジしてみたい」という気持ちになり、転職を考え始めた。

正直言うと、ソフトウェアエンジニアとしての代表作と言えるものを自分は freee では作れなかった。

もちろんコミットはたくさん積んだ。しかし、それはどれも大きな大きなプロダクトの一部の改善であり、自分のこの手で事業に大きなインパクトをもたらすことはできなかった。これはひとえに自分の実力不足だ。大きなプロダクトに非連続的な進化をもたらせるほどの実力が、まだ自分には無かった。

freee で働く中で、1人で圧倒的な成果を出すというよりも、チーム全体の最適化に取り組む方が目の前の成果が出やすいということは何となく分かっていた。それでも、1人のソフトウェアエンジニアとして、自分の代表作とも言えるプロダクトをこの手で作りたいと思った。

そんなこんなで、より小さなフェーズの会社で働いてみるのもアリかもな、と思うようになった。

CADDi との出会い

そこで、自分の琴線に触れた会社が CADDi だった。

数年前から CADDi という会社の存在は認知していたが、Rust でゴリゴリとアルゴリズムの最適化をしている集団みたいなイメージがあったため、最初はあまり視野に入れていなかった。 しかし、ある日ふと求人を見てみたら、ソフトウェアエンジニアを募集していることに気づいた。自分は元々石油天然ガスのプラントで働いていたこともあり、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションを見て興味が湧き、とりあえずカジュアル面談を申し込んだ。すると CTO のアキさんが出てきてびっくりした。

アキさんに話を聞いてみると、次のようなことが分かった。

  • 事業として向き合っている課題が産業全体かつグローバルでとにかく大きい
  • 軸となる事業が2つあり、SaaS事業である DRAWER についてはまだ2年目である
  • プロダクトも組織も向き合うべき課題がたくさんある

会社がやろうとしているスケールの大きさや、SaaS 事業が思ったより初期のフェーズだったこと、さらには自分の手で解決できる課題の数が多いという3要素に惹かれて、選考を受けることに決めた。

3つ目は人によってはネガティブな要素かもしれないが、自分としてはポジティブな要素だった。 事業が急成長するに伴い、課題が一気に膨れ上がったとのことだったので、そこに参加して当事者として乗り越えていくという経験は滅多に積めるものではないからだ。難しい課題であるほどワクワクする性格なのだ。

そして選考を経て、最終的に CADDi への入社を決めた。

CADDi で働いてみて

入社してからは丸2ヶ月が経ち、今は新規サービス開発をしているチームの一員として開発を行っている。 具体的な開発内容としては、次のようなタスクを担当した。

  • サービスの機能追加
  • バッチ処理機構の設計・実装
  • パフォーマンス改善のためのリファクタ
  • サービス監視の設計・導入
  • エラートラッキングツールの導入

働いてみての感想は、結論から言うとめちゃくちゃ楽しい。

入社前に聞いていた通りやることは大量にあるのだが、それをチームとして優先順位をつけて対応していく速度が物凄く速い。 また、個々のメンバーの裁量が大きく、一定抽象的なタスクであっても個々で進め方を考えてチームでレビューするという形になっているのも速度の1つの要因になっていると感じる。開発チームに join して2スプリント目にはバッチ処理機構の設計をまるっと任せてもらえたりしたのは信頼を感じて率直に嬉しかった。

また、オンボーディング・ドキュメントが充実していたり、話す人話す人皆親切だったりと、気持ちよく働けるのも印象的だった。スタートアップではあるが残業を強いられることもなく、自分は 8:30~17:30 という勤務時間をベースとして継続的に働くことができている。 タスクが中途半端で終わるのが嫌で多少残業することはあるが、週15-20hほどの時間が必要な学業と両立してやっていけそうなビジョンが見えたのは自分にとって非常に嬉しいポイントだった。

終わりに

CADDi の事業は一見何をやっているか分かりにくいかもしれない。自分は製造業出身ではあるが、入社してオンボーディングを受ける過程でようやくちゃんと事業の強さ・面白さを理解できた気がする。

資料を眺めただと最初は少し分かりづらいかもしれないが、"MANUFACTURING" という実際のモノを扱う設立当初からの事業と "DRAWER" という図面データを扱う SaaS 事業の組み合わせで生まれるシナジーこそが CADDi という会社の大きな強みになっている。製造業という大きな産業を変えるためには、ソフトウェアだけではなくデジタル・リアルの両方を最適化していく必要がある。非常にチャレンジングな目標ではあるが、自分の熱量を注ぐにはこの上なく面白い課題だ。

組織としても、この1月に新しく VPoE が就任したということもあり、さらに成長のスピードが上がっていくとても面白いフェーズだと思っている。

そんな CADDi で、胸を張って自分の代表作と呼べるようなプロダクトを作りあげ、自分たちの日々の生活を支えているモノづくり産業全体をさらに面白く、魅力的なものにしていきたい。


興味を持ってくれた方向け

CADDi の事業や組織、具体的なプロダクト開発について興味がある方は採用ページをご覧いただくか、もしくは @plant_ja に DM もしくはリプライをいただければより詳細をお伝えできると思うので、気軽にお声がけください。特に転職をお考えでなくても「どんな技術使ってるの?」などの雑談でも大歓迎です。

また、前職である freee に興味がある方も、中の人にお繋ぎするので興味がある方はご連絡ください。